ゲームデザイナーの深山です。
久しぶりのデザイナーズノート、今回のテーマはずばり「レギオンズ!で有利なのは、先手と後手どっち?」です。
ターン制のゲームでは、基本的に先手が有利となるゲームが多いですが、「レギオンズ!」では、後手が有利なポイントをいくつも用意しており、公式大会でもあえて後手を選ぶプレイヤーも見受けられます。
実際の所、どちらが有利なのでしょうか?
結論から言いますと、「デッキによるが、やや先手が有利」が現在までの統計結果となります。
「レギオンズ!ニューイヤーフェスタ2018」予選結果
勝ち数 | 勝率 | |
---|---|---|
先手勝ち | 61 | 53.98% |
後手勝ち | 52 | 46.02% |
予選は2敗ドロップ方式で行われた為、試合数が少なめとなっていますが、結果は54:46と、去年行われた「レギオンズ!オープニングフェスタ」とほぼ同様の数字となっており、ある程度信頼がおけるデータと言って良いと思います。
さて問題となる「デッキによる」の部分ですが、デッキを以下の3パターン、前半戦から積極的に相手ライフを奪い早期決着を狙うアグロ型・カードパフォーマンスで戦う中速のミッドレンジ型・前半は相手を捌いて耐え後半逆転を狙うコントロール型に分けて考えた場合における対戦組み合わせで語るならば、以下のようになるでしょうか。
アグロ | ミッドレンジ | コントロール | |
---|---|---|---|
アグロ | 先手有利 | 先手有利 | やや先手有利 |
ミッドレンジ | 先手有利 | 五分五分 | やや後手有利 |
コントロール | やや先手有利 | やや後手有利 | 後手有利 |
要点をまとめると…、
- アグロ型は先手が絶対有利なので迷わず先手を確保!逆にアグロ相手に先手は渡さない!
- 自分がミッドレンジかコントロール型を握っていて、相手もミッドレンジかコントロール型なら後手を確保!
この2つのセオリーは是非覚えておきましょう。
ややマニアックな話
さて、以下は「レギオンズ!」のゲームメカニズムの解説となります。
「レギオンズ!」というゲームを、極度に抽象化して考えたとき、ターンごとの有利不利と言うものは、そのターンに投入できる上限コストと、そのターンまでにボードへ投入できた累計コストの量で決定され、そのコスト量の差がボードアドバンテージ・ライフアドバンテージとなって現れていきます。
具体的に言えば、先手後手それぞれが1ターン目に1コストミニオンを置きあったとして、先手2ターン目はその盤面に対しさらに2コストを投入して、ライフを奪っていく事が可能なのです。これが先手の有利さの源泉と言えます。
ただし、この先手の有利さは、先手4ターン目までは拡大を続けますが、4ターン目に先に後手が覚醒を迎える為、だんだんと後手が盛り返していきます。
先手C上限 | 後手C上限 | 先手累計C | 後手累計C | 先手累計アド | 後手累計アド | |
---|---|---|---|---|---|---|
1ターン | 1 | 1 | 1 | 1 | 1 | 0 |
2ターン | 2 | 2 | 3 | 3 | 2 | 0 |
3ターン | 3 | 3 | 6 | 6 | 3 | 0 |
4ターン | 4 | 5 | 10 | 11 | 4 | 1 |
5ターン | 5 | 6 | 15 | 17 | 4 | 2 |
6ターン | 6 | 7 | 21 | 24 | 4 | 3 |
7ターン | 7 | 8 | 28 | 32 | 4 | 4 |
8ターン | 8 | 9 | 36 | 41 | 4 | 5 |
9ターン | 9 | 10 | 45 | 51 | 4 | 6 |
10ターン | 10 | 11 | 55 | 62 | 4 | 7 |
上の表は、ターンごとのコスト上限や、累計コスト、そしてそのターンごとの差をまとめたものですが、一番右側の2列、累計コストアドバンテージ差(そのターンまでに投入できるコストの累計から、直前の相手ターンで相手が投入できたコストの累計を引いたもの)に注目して下さい。毎ターンコアを伸ばした場合において、4ターン目以降、先手のアド差が4コスト分で頭打ちになるのに対し、後手のアド差は拡大を続ける事が見てとれます。
この構造から言えるのは、6ターン目までは先手有利、7ターン目で先手後手が並び、8ターン目以降は後手が有利という法則です。
もちろん、これは極度に抽象化した場合の話であり、実際にはカードの相性差やシナジー、そもそもの引き運など様々な要因によって大きく変わっていく事は言うまでもありません。
ルール変更はあるか?
今のところ、54:46とやや先攻有利の結果となっていますが、ルール変更で対応すべきレベルとはまでは考えておりません。
クラス別にデータを取ってみても、明確に後手が有利と思われるクラスもあり、おそらくは環境による影響が大きいため、この問題については今後のカードデザインによって対応していくべきだと考えています。